仕事・人生
「宝塚はトップ目指す気概が大事」 元花組スター高汐巴さんが下級生に伝えた思いとは
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インタビュアー:竹山 マユミ
歌い継がれる宝塚の名曲には“高汐ブランド”も多数
竹山:そういったお話を伺うと、高汐さんのトップ時代にたくさんの名曲が生まれたこともうなずけます。
高汐:ありがたいことに、すごい名曲ばかりいただいていましたね。当時はそういう価値も分からなかったんですけど。
竹山:やはり「高汐さんに歌わせたい」と思わせるような雰囲気もあったのではないでしょうか。
高汐:昨年開催された宝塚花組、月組100周年「Greatest Moment」という公演で、久々に下級生たちと一緒に主演時代の曲を歌わせていただきました。その時も懐かしさでいっぱいになりましたが、本当に名曲をたくさんいただいていたのだと年月が経つにつれて実感します。これからも大切に歌い続けていきたいです。
竹山:それほど宝塚歌劇団は魅力的なところでしたか。
高汐:人間的な哲学というものも学べたと思いますし、やっぱり精神力がすごく強くなりましたね。生まれつき両親から譲り受けたのもあると思う反面、表現する場所が舞台という華やかなところでしたから、やりがいがあるというか、すごく楽しかった。その成果をちゃんとお客様に見ていただけるし、やっぱりこんな幸せなことはないと思いますよね。
その中にいろいろな苦しいこともありました。夜12時まで歌などの稽古をしたこともありましたし、本当にボロボロになって稽古していました。でも、見ていただいたお客様に「すごく感動しました。明日から頑張ります」と言っていただけると苦労が吹き飛びます。ファンの方もそれぞれ仕事はやはり大変だと思います。そういう方にとって宝塚というのは、現実を忘れる3時間の場所であり、エネルギーをパワーチャージしていただけるスポットだと思いますね。
竹山:宝塚の生の舞台というのは、出演されている皆さんからたくさんの夢や力をいただける特別な場所だということを感じます。
高汐:宝塚は5組(1998年からは花・月・雪・星・宙)の決まったチームで毎回舞台を作り上げます。深い絆で結ばれて、家族のようです。でもその中でも先輩後輩がきっちりしているし、やはり「清く正しく美しく」という精神に則っている稀有な存在だと思います。