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仕事・人生

宝塚史上でも類を見ない結束力の74期 元男役はやせ翔馬さんが語る同期への深い愛情

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

教えてくれた人:竹山 マユミ

はやせさんにとって宝塚は「世界一大きな百科事典」

ステージが目前に迫り、はやせさんの振付指導にも熱がこもる【写真:舛元清香】
ステージが目前に迫り、はやせさんの振付指導にも熱がこもる【写真:舛元清香】

竹山:2002年にオープンした「ダンススタジオSHO-MA PARK」(東京都世田谷区尾山台)は今年20周年を迎えました。退団後、どのような経緯でオープンされたのですか。

はやせ:退団後、恩師の喜多弘先生(当時の宝塚歌劇団専属振付家)からお声がけいただきアシスタントをさせていただくことになり、喜多先生が東京で行っていたレッスンの代稽古(レッスンを代理で行う役目)で入っていました。その後に喜多先生が完全引退された時、レッスンを受けていた方々が「どこかで続けてくれないか」と言ってくださったのです。

 そこで「そうか、スタジオを作るという手もあるのか」と思いました。喜多先生のレッスン場がこの近くで、通われている方も近隣からでしたから、思いきってここでスタジオを始めることにしました。

竹山:ここではどんなレッスンをなさっているのですか。

はやせ:キッズから大人向けのダンスクラスの他、健康フラダンスクラスなどもあります。また、「三ヶ月歌劇団」というクラスでは、宝塚のレビュー曲に合わせて、私の振付で生徒の皆さんと楽しく踊っています。

竹山:踊った経験がない人でも大丈夫ですか。

はやせ:大歓迎です。逆にプロを目指すような方は他のスタジオを探してください……というくらい。ここはそういう、ただただ楽しく踊る場所でありたいなと思っています。

竹山:激しく体を動かすことはできないけど、楽しく音楽に乗って踊れるというだけでもいいですよね。

はやせ:私は一人ひとりを見て、どういうことが好きかな、どういうものが合うかなと思いながら振りを付けたり、その場でレッスンの流れを決めたりするタイプなんです。来てくださった方に合わせているので、人との出会いがすごく楽しいです。

竹山:ここでは宝塚のフィナーレパレードも体験できるそうですね。

はやせ:「三ヶ月歌劇団」の中にパレード専科というクラスがあって、3か月に1回、シャンシャン(公演のフィナーレの時に出演者全員が持つ小道具)を持ってパレードをするんです。役を決めるのはくじ引き。3番手、2番手、トップといったように、階段を降りる順番も決めます。もちろん階段はイメージです(笑)。

 私が「緞帳閉まりま~す。それまで手を振ってて~」とか言いながら終わると、皆さん本当に舞台に立っていた後のようにほっとして力が抜けちゃったり、ぐったりしちゃったり。でもとても嬉しそうな表情をしています。毎回参加して下さる方もいらっしゃいます。

竹山:宝塚の世界を体験できる、素晴らしいテーマパークのような感じですね。

はやせ:受講してくださった方から「宝塚の見方が変わる」といった声もいただけるので、こうしたことをきっかけにして、皆さんが宝塚の劇場に足を運んでくださればいいなと思っています。

竹山:今のはやせさんにとって、宝塚はどんなところですか。

はやせ:そうですね。困ったことがあったら「宝塚にいた時だったらどうしていたかな」とか「上級生の方だったらどうしていたかな」という思いに必ずたどり着くんです。だから宝塚は私にとって「世界一大きな百科事典」みたいなものです。

竹山:皆さんが極めてこられたことを踏まえ、今もそれを見返したり見習ったりすることができるというのは素敵な世界ですね。

はやせ:「三ヶ月歌劇団」クラスも、「ライブカフェはやせ」で宝塚ファンの皆様と接したことがきっかけで始めました。おこがましい話かもしれませんが、少しでも宝塚に恩返しができたらと思いながらやっています。これからも宝塚歌劇団を卒業したことを誇りに精進して参ります!

<終わり>

◇はやせ翔馬(はやせ・しょうま)
愛知県名古屋市出身。父は中日ドラゴンズなどで活躍した元プロ野球選手の江藤慎一、母は元宝塚歌劇団44期の瀬戸みちる。1988年に宝塚歌劇団入団(74期)、1994年3月に退団。その後は宝塚歌劇団の専属振付家だった喜多弘氏のアシスタントを経て、ダンサー、コレオグラファー、ダンス講師として活動中。また今年20周年を迎えるダンススタジオ「SHO-MA PARK」を経営し、自身で構成・演出・振付をこなすダンスライブでは、さまざまなダンススタイルをダイナミックに表現している。主な振付とステージングは、ガールズグループ「新生・東京パフォーマンスドール」、宝塚歌劇団74期30周年記念公演、元雪組トップスター杜けあき40周年記念コンサート、品川文化振興事業団主催「輝け! しながわジェンヌ/宝塚OGショー Espoir de TAKARAZUKA」、元花組トップスター高汐巴舞台50周年記念公演「Respect Me!」(作・演出 三木章雄)など。

◇出演情報
「Don’t Stop the show ∀」
【日時】7月9日(土)午後1時/午後5時
【会場】スクエア荏原ひらつかホール(東京都品川区)
【出演】若葉ひろみ 五月梨世 華村りこ 五嶋りさ 一紗まひろ はやせ翔馬 楓沙樹 夢輝のあ 矢吹世奈 凰羽みらい 水沙るる
【金額】全席指定5500円(高校生以下3000円)
【販売窓口】スクエア荏原/メイプルカルチャーセンター/O美術館(品川文化振興事業団)
【ウェブ】https://www.shinagawa-culture.or.jp/(品川文化振興事業団公式ウェブサイト)
【電話】03-5755-2064(文化企画係、10時~)

(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)

竹山 マユミ(たけやま・まゆみ)

明治大学卒業。広島テレビ放送のアナウンサーを経てフリーアナ、DJとして各テレビ局やラジオ局で番組を担当。コーピングインスティテュート コーピング認定コーチ。宝塚歌劇団は生まれる前から観劇するほどの大ファン。