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仕事・人生

フードロスとラグジュアリーブランドをつなぐ女性リーダー 幼少からの奉仕活動が生んだ華麗なる人脈

公開日:  /  更新日:

著者:柳田 通斉

故スタン・リー氏が“後見人”に 次々と広がる人脈

 2018年11月12日に亡くなったスタン・リー氏は、マーベル・コミックの「アイアンマン」「スパイダーマン」「アベンジャーズ」などの原作を手がけた漫画原作者。山田さんいわく、「20代後半の頃、たまたま親しくなる機会があった」そうです。

「とても素敵な方でした。私がアジアの日本から1人で来て、もがいているから『助けてやろう』と思ってくださったのかも。また、私が子どもの頃からご年配の方々とお話をするのが好きで、長く話し込んで学んだりしたことで仲良くなりました。そこを気に入ってくださったのもかもしれません。すぐにゴッドファーザーのような存在になってくださり、いろんな方々とつないでくださいました」

 次々と人脈が広がる理由には、山田さん自身のキャラクターもありそうです。

自分を「飾らない」という山田早輝子さん【写真:荒川祐史】
自分を「飾らない」という山田早輝子さん【写真:荒川祐史】

「人見知りをしたことはないですね。図々しいんでしょうか(笑)。後は、背伸びをしても仕方ないので(自分を)飾らないですし、すべての方にそのままで接しています。基本は性善説でどんな方とも仲良くしたいですが、悪口や陰口を言う人は苦手なので、そういう人だと知ってしまったら、関わらないようにはしています」

 そのスタイルのまま米国で11年を過ごした山田さんは、英国とシンガポールに居を移します。きっかけは、実業家の英国人男性との出会いでした。

「自分でも数年間経験を積んで帰国するつもりでしたが、結局、海外生活は計18年になりました」

 米国を一度離れた後の山田さんは男児を出産し、育児をしながら映画プロデューサー業を継続。さらに国際ガストロノミー学会の会員として、日本ガストロノミー学会の立ち上げに尽力します。その最中、プライベートでは想定外のことが……。

 次回の後編では、日本で設立したフードロスバンクの活動と新たな取り組みを軸に、山田さんの信念に迫ります。

◇山田早輝子(やまだ・さきこ)
東京都生まれ。聖心女子大学文学部英文科卒。住友商事を経て、2000年に米国に単身留学。慈善活動に取り組む中で映画プロデューサー業を開始し、アル・パチーノ主演、監督の「ワイルド・サロメ」などを手がける。2011年に米国を離れ、英国とシンガポールに居住。2018年からは生活の拠点を日本に置き、2020年に株式会社フードロスバンクを設立。フードロス問題への取り組みなどで、SDGs時代の象徴的な存在として注目を集めている。

(柳田 通斉)