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子ども1人育てるのに2000万円かかるのは本当? FPが教える貯めておくべき金額とは
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子どもにかかるお金はいつから、いくら貯める?
では、保護者としていつから、いくら貯めておくべきなのでしょうか? これだけかかることがわかっているので、とにかく早めに対策をしておきたいところです。
○先取り貯蓄で毎月コツコツ
毎月お給料が入ったら、下ろす前に強制的に貯める「先取り貯蓄」を早めにしておくことが重要です。たとえば、毎月1万円ずつを貯蓄したとします。
1万円×12か月=年間12万円
12万円×18年=216万円
18年間貯めれば、216万円になります。お給料が入る日に設定し、自動積立定期預金などを利用して貯める仕組みを作ったり、財形制度がある方はそちらを利用したりしてもいいでしょう。
○児童手当はできれば貯蓄に回す
産まれてから支給される児童手当は、できるだけ手をつけずに貯めておきたいところです。
【児童手当1人あたりの月額(2023(令和5)年3月現在)】
・3歳未満:一律1万5000円
・3歳以上小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
・中学生:一律1万円
このところ変更点は多いですが、上記の金額が支給されます。なお、年収目安として1200万円以上の所得制限世帯は、2023年3月現在で支給はありません。
この金額で第1子分をすべて貯めたと試算しましょう。
1万5000円×12か月×3年間=54万円
1万円×12か月×9年間=108万円
1万円×12か月×3年間=36万円
合計で198万円の支給になります。これを貯めておくと、大学入学などのまとまった費用がかかるときの備えになりそうです。
○学資保険に加入する
学資保険は、教育資金を積み立てると同時に、子ども、もしくは親に万が一のことがあった場合に給付される保険商品です。保険会社によって、保障に重点を置いたものや貯蓄性に重点を置いたものなどさまざまですが、基本的には学費の積み立てを目的としたものになっています。
保険にもよりますが、大学入学時に支払いを行うもの、高校・大学入学時など複数回に分けて行うものなどのタイプがあります。保険料は生命保険料控除の対象になりますし、普通預金よりは高利率なので人気があります。リスクとしては、途中で解約をしてしまうと元本割れをしてしまう場合があるので気をつけたいところです。
○資産運用でまとまった資金を作る
ここ数年、国が力を入れているのが「NISA」や「つみたてNISA」などの金融商品。NISA口座内にて、一定金額の範囲内で購入した商品から得た利益を非課税にする制度です。みなさんの周りにも運用している方が増えてきているでしょう。
初心者におすすめなのは、積み立てながら資産を作る「つみたてNISA」です。毎月積み立てることによって時間を分散させることができますので、急激な下落などもダイレクトに受けにくく、資産を運用することができます。現在、「つみたてNISA」の対象になっている商品は金融庁が認めた188本です(2023(令和5)年2月現在)。そのなかから、自分がいいと思ったものを選んで少しずつでもやっておくと、将来子どものまとまった学費などの出費に備えることもできそうです。
○親子で金融リテラシーを上げておく
2022(令和4)年度から始まった高校での金融教育も、1年が経とうとしています。日本人は「お金の話はちょっと……」と思いがちですが、これからの時代、金融リテラシーを上げておくことが自分の身を守る手段になることは間違いありません。
刻々と変わる国のお金に関する政策も都度理解し、自分たちの資産は自分たちで作り上げていかなくてはいけません。そういった意味では、家庭内でしっかりとお金に関する知識を共有し、自分たちがどうやって資産を作っていくのか、そのためには何が必要か、どうするべきかなど、目標を持っておくべきことだと思います。
子どもを育て上げるのには、確かにお金がかかります。でもそれ以上に、家族が増えることはかけがえのない幸福感もあるものです。親として、計画性を持ってマネープランを作り、しっかりと成長を見届けてあげたいですね!
(橋浦 多美)
橋浦 多美(はしうら・たみ)
1973年11月3日、宮城県仙台市生まれ。フリーアナウンサー、ファイナンシャルプランナー。会社員からフリーランスに転身した時にお金の大切さを知り、勉強を始める。現在はファイナンシャルプランナーや宅建士、証券外務員などの資格を取得し、「しゃべれるファイナンシャルプランナー」として、セミナーやラジオにも出演。家計のモットーは「見栄は張らずに、財布が張る家計」。プライベートでは双子男児の母として、出費が一気に2倍になる教育費と格闘中。著書に「四畳半経済のススメ~コンパクトな家計を実現する87のコツ~」(ゴマブックス刊)などがある。