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「感謝は一生忘れません」 手書きの手紙に涙止まらず ホテル閉館後に分かった宿泊の真意
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「なんとか再生してくれないか」 総支配人として赴任したが…
伊豆急行「伊豆熱川」駅から海に下り、海岸線を右に進むと、ホテルの建物が見えます。
取材は館内で行いました。閉館したとはいえ、雑然としたところはありません。フロントやロビーはきれいに清掃されているようです。大きな窓からは海が一望でき、ライトをつければ、すぐにでも営業を再開できそうでした。
総支配人の関野さんは、2022年9月に着任しました。
「稼働も上がっていかないし、売り上げも上がっていかないので、なんとかこのホテルを再生してくれないかと、私が沖縄にいるときに友人から連絡がありました。数字を見る限りは全部真っ赤っ赤で、黒字の月なんか年に1か月ぐらいしかない。そんな状態でした」
ちょうどコロナ禍の真っただ中。ホテルの経営状況は苦しく、年間6000万円もの赤字を計上していました。
「ホテルっていろんな形があるんですけど、このホテルの場合は投資家がずっと持ち続けています」
投資家が運営会社を決め、その指示のもと、ホテルの営業を行う形態でした。
沖縄では金融関係の仕事をしながら、ホテルをゼロから立ち上げた実績もある関野さん。機械やタッチパネルを導入し、ホテルの無人化を徹底した経験もありました。投資家から託されたのは、経営の立て直しでした。
熱川温泉ブルーオーシャンは全71室の中規模ホテルです。赴任してまず取り組んだのはスタッフの意識改革でした。
接客業の代表格であるホテル。いくらコスト削減を進めようと、対人サービスが最重要なのは言うまでもありません。しかし、60年の歴史がある老舗ホテルの裏側は、必ずしもスタッフが働きやすい環境とは言えなかったと指摘します。