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「感謝は一生忘れません」 手書きの手紙に涙止まらず ホテル閉館後に分かった宿泊の真意
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外国人スタッフを大量採用 目に見えた変化と希望
「古いホテルってみんなそうなんですけど、いろんな派閥があるじゃないですか。例えば何年も前からいるスタッフが牛耳っている世界があって、癒着こそなかったですけど、その弊害がありました。清掃のトップの人がすごくうるさくて、新しい子を入れてもみんなクビにしているとか、これもどこのホテルにもあるんですけど、レストランに女の子がいたとか“お化け出る伝説”みたいな話をペラペラ言う人がいるんですよ」
外国人に繰り返し意味のない労働をさせたり、宿泊客のためのロビーの一角にふとんを敷いて寝ているスタッフもいました。
「もうめちゃくちゃです。むちゃくちゃなことがいっぱいあって」。周囲に悪影響を与えたり、マイナス思考なスタッフでは、経営再建という大目標は達成できません。関野さんはかねて放置されていた課題にメスを入れ、雇用形態の変更を通達しました。
文字通り一からの再出発となりましたが、険しい道のりが続きました。
「求人をハローワークに出しましたし、雑誌媒体にも出しましたけど、ホテルを転々としているような人たちしか来ない。もう本当に警察はやってくるわ、あおり運転してパトカーに追っかけられるわ、トラブルばっかりで。これはやっていけないなとなって、知り合いの派遣会社から外国人を徹底的に入れていこうという方針に転換しました」
スタッフの半分以上を外国人にすると、職場の雰囲気はがらりと変わります。「その人たちは一生懸命働いてくれますし、何が一番いいかと言うと、語学が堪能なので、フロントやらせてもレストランやらせても、外国人のお客様には全くちゅうちょしない。日本人から『言葉が分からないからどうにかしろ』みたいなクレームとかもありませんでした」
希望を見いだした関野さんですが、やるべきことはほかにも山積していました。
「満室にしたいと言ったら、ここはエアコンが壊れてます、ここは窓が壊れてますみたいな感じで、71ルーム中50ルームぐらいしか使えないんですよ。予算がない現状だったので、そこを直していくところから始めたんですけど、でも、あっちは水漏れするわ、こっちは水漏れするわみたいな、そういう状態からスタートしていて、お客様が泊まって、何もトラブルが起きずにチェックアウトして帰っていただける施設にするまでに半年から8か月ぐらいかかりました」
エレベーターやエスカレーターは動いたり、止まったり。客からのクレームは日常茶飯事でした。加えて、競合ホテルとの差別化や利益率の改善はさらに大きな課題でした。
「すごく気のいい人たちに働いていただいていたので、人が育っていく。その育っていく過程の中で売り上げを上げていけば、黒字にはなるだろうと思っていました」