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「感謝は一生忘れません」 手書きの手紙に涙止まらず ホテル閉館後に分かった宿泊の真意

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著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

再建断念…そして投稿が大バズり 「このような反応になるとは」

雨の熱川温泉は閑散としていた【写真:Hint-Pot編集部】
雨の熱川温泉は閑散としていた【写真:Hint-Pot編集部】

 そんな見通しを立てていた関野さんですが、3年で黒字化を目指した計画は断念することになりました。

「どうやっても利益になっていかないんですね。うちだけじゃなく世の中みんなそうで、ウクライナの問題から燃料費が高くなり、さらに食材も高くなった。食材が3割高くなれば、ホテルの値段を3割上げないといけない。最初は8000円ぐらいで、1万5000円ぐらいまで持っていったんですけど、利益を出すためには、あと4500円上げて2万円にしないといけないことになるんですね。すると、2万円でお客さん集まるのかってなると、2万円では集まらないですね」

 黒字になったのは3月と8月だけ。「要は春休みと夏休みにしか黒字にならないですよみたいな状態で、それが1年半ぐらいやってきて、明らかに明確になってきた。投資家にぶつけたら、じゃあやってても赤字、閉めてても赤字なら閉めていたほうが気が楽なので閉めましょうみたいなことになって、閉めることになってしまったんです」

 やむを得ない事情により、ホテルは閉館します。そして、起きたのが、SNS上の大バズりでした。

「売却されれば、次の人たちがお金をかけて、例えばメンテナンスをして再建していくっていうのが、この投資型ホテルの宿命みたいなところがあって」

 そう語りながらも、関野さんの脳裏にあるのは、手紙をくれた家族のことです。

「誕生日のお客様は毎月3、4組ぐらいいたんですね。ただ、お手紙のようなご家族は1組も記憶の中にありませんでした。手紙の文面からすると、たぶんこのご家族だろうなと思い、顧客台帳を見てその方に連絡しました」

 電話で突然の訃報を悼み、手紙のお礼を述べました。そして、ホテルがすでに閉館していることを改めて説明。再度、再開したら訪れたい意向を伝えられたそうです。

 許可を得て投稿した内容は、多くの目に触れ、ホテルのホスピタリティーにも注目が集まりました。それは、総支配人に就任して以来、何よりも関野さんが目指していたことでした。

「このような反応になるとは、全然思っていなくて」

 反響は多方面からありました。

「不動産会社から売りに出しているんだったら購入を検討させてくださいという問い合わせは来ていますし、ファンドからも見積もりして価格提供してくださいと言われています。現状は形にはなっていないです。ただ、リプライとか見ると、再建したら絶対泊まりに来ますみたいなそういう声がすごく多い。お客様の応援が形になるようなものを作っていきたいですね」