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声も出ず電話もかけられず… 熱中症で自宅から搬送された一人暮らしの女性が語る 「本当に怖かったこと」

公開日:  /  更新日:

著者:中野 裕子

身体のフワフワが止まらない とにかく早く休もうと帰宅

 でも、やはりフワフワします。「何これ、私、どうしたんだろう?」車を運転して帰れるかな、と不安になって、駐車場へ向かう途中にある椅子に腰かけて休みました。太陽がさんさんと降り注ぐ場所だったせいか、休んでも一向に良くなりません。むしろ悪くなっているように感じました。

 もう一度図書館に戻って休ませてもらおうかと迷いましたが、家まで車で10分弱。「何とか帰れるだろう」「帰って横になった方が楽だろう」と頑張りました。運転の途中、車を路肩に寄せて休もうかとも思いました。でも「そのまま気を失うんじゃないか」と怖くなって、何とか頑張って休まず家まで帰りました。今思えば、取り返しのつかない事故を起こす可能性もあったわけです。ゾッとします。

 その時、特別に身体が熱かった記憶はなく、汗はかいていませんでした。とにかく「休めば大丈夫」「早く横になりたい」という一心でした。無事に家に帰り着き、ポストを覗くと宅配の不在通知が。電話して「帰宅したので、今からなら家にいます」と伝えました。

家で急激に悪化 恥ずかしくて119番を躊躇

 ちょっと息が荒くなっていて、身体を動かすのもつらくなっていましたが、ベッドにたどり着くには階段を上らなければいけません。這うようにして上りました。「あ~やっと横になれる!」と横になった途端……。グワ~ッとめまいが急激に悪化したのです。

「まさか……? もしかしたら、これが熱中症というものに違いない」――。漠然とした思いが確信に変わりました。

 真っ暗な中を頭から落ちていく感じ。気持ち悪くて、ますます息が荒くなって「誰か助けて……」と思いました。救急車を呼ぼうか、とも。でも恥ずかしい。それにさっき、玄関のドアを鍵だけでなくU字ロックをかけてしまった。「もし救急隊員がU字ロックをぶった切って救助に入ってきたら、修理が大変だし……」などと、この期に及んでそんなことを考えていました。

 ちょうど、知り合いから電話がかかってきました。ろくに目も開けられず、身体があまり動かなくなっていたので出ることができません。1度切れて、またかかってきました。その時は、気力を振り絞って出ました。

 私の様子がおかしいので「大丈夫? 救急車を呼ぼうか?」と心配されました。それでも躊躇してしまい「ううん……大丈夫」と言って電話を切りました。涙がツーッと流れました。不安でいっぱいでした。