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音楽は何歳から習わせればいいの? 1児のパパでもある人気バイオリニストの答えとは

公開日:  /  更新日:

著者:中野 裕子

小5で音楽コンクールの落選 挫折後に自覚したやりたいこと

小学校、大学で挫折を味わったという【写真:荒川祐史】
小学校、大学で挫折を味わったという【写真:荒川祐史】

 音楽を習うことで、挫折を乗り越える力も身につきます。僕も挫折は何度か経験しました。小学校4年生の時、ある音楽コンクールで最優秀賞を獲ったんです。そうしたら母親もバイオリンの先生も、急に本気になっちゃって(笑)。

 僕も期待に応えようと頑張って練習したんですけど、5年生の時、歴史のある大きな「全日本学生音楽コンクール」を受けたら落選してしまいました。母親も先生もがっかりしてしまって、それを感じ取った僕もつらくなって、バイオリンを弾かなくなってしまいました。

 1か月ほどした頃、学校の音楽の先生に「白須くんはバイオリンが弾けるのよね? ちょっとみんなの前で弾いてみてよ」と言われたので、授業で弾いてみせたんです。すると、クラスのみんなが「すごい!!」と驚いて楽しんでくれたんです。

 それで、「やっぱりバイオリンっていいな」と思い直し、またお稽古を再開しました。この経験がなかったら、嫌になったままお稽古をやめていたかもしれません。

 その後もコンクールには挑戦を続け、予選を通過するなどしていたのですが、結局、僕は“評価されるバイオリン”ではなく、“聴く人に楽しんでもらうバイオリン”が好きなんだな、と自覚するようになりました。

 高校の音楽科から音大へ進学し、その度に周囲のみんながすごく上手なので「上には上がいるんだな」と挫折感を味わいました。そのつらさ、苦しさを乗り越える強さを養ってくれたのもバイオリンでした。