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音楽は何歳から習わせればいいの? 1児のパパでもある人気バイオリニストの答えとは

公開日:  /  更新日:

著者:中野 裕子

運動や学校行事は作り出す音楽に影響 「経験してきて良かった」

「あんさんぶるスターズ!DREAM LIVE」演奏など、多方面で活躍【写真:荒川祐史】
「あんさんぶるスターズ!DREAM LIVE」演奏など、多方面で活躍【写真:荒川祐史】

 クラシック音楽の英才教育を受けてきた人たちは、突き指など怪我をしないようにスポーツを避けたり、練習時間の確保を最優先にして学校の体育祭や修学旅行にも参加しなかったりする人が珍しくありません。

 僕の周りにはそういう人たちがたくさんいますが、僕は小学校の時はサッカーを、中学ではバスケットボール部に入っていましたし、運動会や修学旅行にも参加してきました。確かに、クラシックの音楽家として身を立てるには厳しい練習をする必要はありますが、身体を含めて楽器なので、身体を作ることやスポーツを通して筋肉の使い方を知ることは音色に関わってきます。

 また、体育祭とかで友達と楽しむ経験は、作り出す音楽にも影響します。僕は運動も学校行事も経験してきて良かったと思っています。

 ただ、時間は無限ではないので、いろんな経験をするのは難しくもあります。僕は小学校高学年から家で毎日3時間練習していたので、テレビでお笑い番組やアニメを観たり、ポップスやロックを聴いて楽しんだりする時間はありませんでした。

 大学でポップスやロックを学ぶ授業があり、初めてビョークやピンク・フロイド、レディオヘッド、U2などの音楽に触れて衝撃を受けました。それからX JAPANやユニコーンの音楽と出会ったことで、今の僕の音楽活動――ポップス歌手のステージ音楽やドラマ、映画、アニメ、ゲームの音楽を担当することにつながったと思うので、もっと早くからそうした音楽にも触れておけば良かったなと思います。

 幸い、家で毎日3時間練習する時は課題曲だけではなく、映画音楽などを耳で覚えて弾いたりして、バイオリンを自由に楽しんで弾いていました。それも、今やっている仕事に生かされているな、と思います。課題曲しか弾いてこなかったら、それ以外を自由に弾けるようにならなかったと思うので。

 母親も音楽家ではなかったので、バイオリンの音が聞こえていれば「練習してるんだな」と納得し、練習内容にまではあまり厳しくなかったのも良かったと思います。音楽は幅広いですから、楽しむことが一番大事。クラシック音楽で身を立てるわけではないなら、自由に楽しんで続けることが、人生を豊かにするんじゃないかと思います。

◇白須今(しらす・こん)
1985年6月21日、兵庫県神戸市生まれ。2歳でバイオリンを始め、兵庫県立西宮高校音楽科から国立音楽大学演奏学科に進学。2008年に大学同期2人と結成した「Shikinami」で活動を始め、ソロではバイオリニスト・作曲家として活動。19年にはG20大阪サミットで歌舞伎俳優・中村米吉と「KABUKI」を演奏した。さらに同年のNHK大河ドラマ「いだてん」、20年のNHK連続テレビ小説「エール」では出演と劇伴演奏。20年には舞台『少女ヨルハ』の音楽監督・編曲、21年には「列島ニュース」(NHK)のテーマ音楽演奏や「あんさんぶるスターズ!DREAM LIVE」の演奏など。箏、尺八などの邦楽演奏家との共演機会も多く、日本人にしか出せない音を探求しながら活動を続けている。

(中野 裕子)