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「すごい」はNG褒め言葉!? 育児ノイローゼ経験者の三つ子ママが推す「ずぼら力」とは

公開日:  /  更新日:

著者:倉野 武

子どもは自分とは別人格 「勉強しなさい」と言わない「自他分離」で

「自分の欲求通りに子どもが行動するのが子どもの幸せ」と考えないこと(写真はイメージ)【写真:写真AC】
「自分の欲求通りに子どもが行動するのが子どもの幸せ」と考えないこと(写真はイメージ)【写真:写真AC】

島谷さんの真骨頂ともいえるスキルが「ずぼら力」です。そこでキーワードになるのは「自他分離(じたぶんり)」。子どもと自分を他人(別人格)と分けて考えることですが、実際には難しく、自分と子どもをつい一体化させてしまい、自他分離ができない人の方が多いようです。その結果、「自分の欲求通りに子どもが行動するのが子どもの幸せ」と考えがちです。

「どんどん新しい価値観に更新されていく時代を生きる子どもの持っている可能性からすれば、古い価値観で生きてきた親の人生なんてチープでアドバイスできるようなものではない。親の手のひらの中、親が敷いたレールで、親が良いと思うたった一つの価値観の中で生きていく子どもはかわいそう。ちょっときつい言い方になりますが、その意味でも親は自他分離をすべきです」

自他分離と同時に、「親はちゃんとするべき」という考え方を手放し、多少のことには「ま、いっか」の境地に達するためのスキルが「ずぼら力」。それを発揮し、島谷さんが実践したのは「学校からのプリントはテーブルに出したものだけ見る」「通知表、成績表は見ない」「勉強しなさいと言わない」「朝寝坊しても起こしに行かない」などなど……。

「こんなにいい加減でも、『良い加減』ということで、子どもは自立できました。遅刻や忘れ物をして、先生に怒られたりもしましたが、子どもが自分で何とかして、『今度はちゃんとしよう』と考えるように。ここまで突き抜けられなくても、小さなステップから、プリントは週1回だけ見るとか、成績表を見ても、やる気をなくす言葉がけはやめるとかでもいいですね」

「子どもの行動を変えようとする前に、自分自身が自分の大切にするものは何かと考えていけば、子どもに対する言葉がけも確実に変わっていくと思います」