食
大人世代が好きな学校給食1位はカレー 時代とともに変化する献立 物価高騰の影響も
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教えてくれた人:松丸 奨
平成は「地産地消」を推進の時代 全国各地で郷土料理が
給食はその後も時代に合わせ変化を続けています。平成では「地産地消」が推進され、地場食材の使用や郷土料理を提供する学校が増えました。
例えば「あなたの地元にあった珍しい給食を教えてください(自由回答)」という設問では、兵庫県の「イカナゴのくぎ煮」や栃木県の「シモツカレ」、香川県の「しっぽくうどん」などの回答が数多くありました。全国各地でさまざまな郷土料理が提供されていたことが分かります。
「近年も変わらず地産地消や郷土料理の提供を強く意識しています。生まれ育っている土地のこと、食文化を知ることになりますし、郷土愛を育んでほしいという願いからです。実は地元の郷土料理や特産品などの地場産物を知らない人は多く、給食をきっかけに食べて学んだ人は多いんですよ!」
ただし、全国の郷土料理は味付けや食材が大人向けのものが多いため、栄養士が工夫し食べやすく改良をしていることが多いそう。
「あまり改良しすぎると本来の郷土料理から外れてしまうので、この塩梅がいつも頭を悩ますことになりますね」
食の多様化に合わせた工夫 骨ありの魚をあえて提供
平成から令和にかけては、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあり、和食を改めて見直し、給食でこそ力を入れていこうという動きに。その一方で、食育の一環としてエスニック料理やイタリア料理、スペイン料理なども提供されるようになります。
「現代は食の多様化が進み、子どもたちの舌も肥えてきています。そこで特に工夫している点は『だし』です。実は摂取基準の改訂により、塩分の使用量がさらに少なくなりました。さまざまな食材からだしを取ることで、少ない塩分でもおいしく食べることができます」
また、加工技術の発達で、あえて食べにくいものを出すという工夫もあるそう。
「実は、骨なしの魚が当たり前になってしまっている子どもが多くいます。そこであえて年に1~2度ほど、アジやサンマなど骨がある魚をメニューに加え、『骨に気をつけて食べるんだよ』と指導しています。便利で食べやすいものが増えた時代だからこそ、食材本来の姿も教える必要があるのです」