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大人世代が好きな学校給食1位はカレー 時代とともに変化する献立 物価高騰の影響も

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:松丸 奨

物価高で食材の価格表が度々変更 献立作りにも影響が

物価が高騰すると、真っ先にデザートを削られてしまう可能性も…(写真はイメージ)【写真:写真AC】
物価が高騰すると、真っ先にデザートを削られてしまう可能性も…(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 時代に合わせて変化を続けてきた給食。ところがここ最近の物価高は、子どもたちの健康を守る給食に大きな打撃を与えているようです。

 松丸さんが勤める文京区の小学校では、毎年4月に契約業者から食材の価格表が渡されます。栄養士はそれを見ながら献立と予算を組みますが、今年はこれまでに体験したことのない異様な事態が起こっているそうです。

「今年度は何度も『物価高による価格表の変更』という文章が送られてきます。穀物、乾物から始まり、油などの調味料類も例外ではありません。生鮮食品では、船の燃料費が関係しているのか魚は特に。肉も飼料の高騰のためか値上がりと、何もかも価格がつり上がっています」

 ところが、給食費はそう簡単に変更することができません。各学校の給食費は、各市町村で給食費検討委員会を立ち上げ、何年もかけた話し合いで決められています。

厳しい予算の中で…子どもたちの健康と成長を第一に

 ちなみに文京区では、1食当たりの給食費は240~290円(学年によって変動)。その限られた予算の中で、栄養価だけでなく、魚、肉、卵、乳製品など食材群別の使用量も守っていかなければなりません。これらの細かく定められた基準や目標値に準じると、自然と品数は増えて、1回の給食で使用する食材は調味料を除き20~30品目に及ぶそうです。

 大人世代のアンケート結果によると、牛乳を除く給食の品数について一番多かったのは47%の「4品」。続いて38%の「3品」、12%の「5品」となっています。松丸さんによると、現在も給食は3~5品が主流。今も昔も品数はあまり変わっていないことが分かります。

「どんなに予算が厳しくても、子どもたちの健康と成長を考えると、主食と主菜は減らせません。となると、デザートの果物などを削ることを第一に考えます。お肉は量を変えずに安価な部位に。魚も脂乗りは悪くなりますが、グレードを落とすことなどを検討しました。栄養価が満たされなくなりますが、緑黄色野菜も減らさなければならないのかも……と心配しましたね」

 実際に、一部の地域ではデザートや品数が削減されたという報道も。その一方で、松丸さんが勤める文京区をはじめ多くの自治体が、子どもの健康を守るために給食費の特別補助を行っています。そのおかげで、松丸さんの学校ではひとまず、現在も例年と変わりない内容で提供することができているそうです。