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メーガン妃が「嫌われる理由」 ロイヤルのいない国に生まれたプリンセスの埋まらない溝

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

ロイヤルファミリー【写真:Getty Images】
ロイヤルファミリー【写真:Getty Images】

ロイヤルが存在しないアメリカ 皇室のある日本

 しかし、そうは言ってもアメリカにはロイヤル(王室)は存在しないのだ。ないものはないのだから、そのような国で生まれ育てば大統領でさえ儀礼に無知となるのも仕方がない。

 それに加えて、誰もが一代で成り上がるチャンスがある“アメリカン・ドリーム”の国民からすれば、生まれながらにして高貴な身分であるロイヤル・ファミリー(王族)のような存在は、非常に古臭く、前時代的権威の象徴というイメージも持ちやすいといえるだろう。

 しかもケネディ大統領は、国民の投票で民主的かつ近代的に選ばれた元首だ。そういう“自分はモダンな国から来た”という自負もあるから、古臭いプトロコルに従うことに理不尽さや馬鹿馬鹿しさを感じてしまっても不思議はない。

 が、しかしである。皇室という、英国王室よりさらに長い歴史がある“インペリアルファミリー”をいただく日本人のひとりとしては、儀礼無視は歴史と伝統に対する不敬であり、愚かな振る舞いだと思ってしまうのだ。

 もちろん現代社会において、人間が「生まれ」で差別されるようなことがあってはならない。王室に生まれたからというだけで、自動的に敬われ、何不自由なく豪華絢爛な人生を過ごすことができるとすれば、それはやはり不公平な話だ。

 しかしだからこそ、ロイヤルに生まれたものは、宿命的に、生まれながらに一般の敬意と愛の対象となるにふさわしい生き方が求められる。

間違った対応をすれば簡単に妬みの対象になりうる王族

 これはこれで厳しい人生である。我々平民の想像を絶する生き方だ。ともすれば簡単に妬みの対象ともなる立場でもある。もしも王族であることで横柄に構え、時代の変化に間違った対応をすれば、あっという間に大衆に憎悪されることもある。

 それが現実に起こったのがロシアのニコライ2世一家に襲った悲劇だろう。皇帝として強大国ロシアの実権の全てを握っていたニコライ2世だが、致命的な失政が続いて国民の怒りが頂点に達し、その結果としてロシア革命が起こり、一家全員が狭い地下に押し込められて銃殺された。

 このニコライ2世とエリザベス女王の祖父ジョージ5世は従兄弟同士である。ふたりが並んだ写真は従兄弟というより、双子といえるほど瓜ふたつで、実際、当時のロシア皇帝と英国王の間には深く親しい交流もあった。それだけに、血族のロシア皇帝一家を襲った悲劇はまさしく他人事ではなく、英王室を心底震撼させた。

 生まれながらのセレブリティであるロイヤルには、そんな危険も背中合わせなのである。つまり国民からの敬意と愛を失えば、命を失う危険もあるのだ。