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メーガン妃が「嫌われる理由」 ロイヤルのいない国に生まれたプリンセスの埋まらない溝

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

メーガン妃とヘンリー王子【写真:Getty Images】
メーガン妃とヘンリー王子【写真:Getty Images】

好評を得たアフリカ訪問 直後に大衆紙を提訴する

 もちろん、批判を振り払おうとサセックス公爵夫妻は必死だ。先月9月下旬から行われた10日間のアフリカツアーでは、現地の人たちとハグを交わし、一緒に踊り、公衆の面前でキスを交わして、これまでの王族では考えられないほど開けっぴろげでフレンドリーな外交を展開して好評を得た。

 しかしメディアの評判が上がった瞬間、今度は裁判という「全面対決」を引き起こす。メーガン妃が父親宛に出した手紙を入手した英大衆紙を訴えたのだ。

 さらにはヘンリー王子も電話盗聴疑惑で大衆紙2紙を提訴。確かにアメリカには何でもかんでも裁判で決着をつけるという文化があるが、英国で裁判ごとは「事を荒立てる行為」という側面も強い。訴えられた新聞社も対決姿勢を明らかにしていることから泥沼化も必至で、これではせっかくのアフリカツアーの成功が水の泡になる。

ロイヤルという”自覚”が芽生える日はくるのか

 長くなったが最後にもうひとつ。英国でアクセント(訛り)というのは、その人のアイデンティティーを示すもので、非常に重要なものだ。話し言葉を聞けば、その人の出身地も階級も分かる。当然、女王や貴族階級は「ポッシュ」(上品)なアクセントで人々に語りかける。

 しかし当然、メーガン妃の話す英語はアメリカ人丸出しのアクセントだ。多くのイギリス人にとって、ロイヤルファミリーの一員であるメーガン妃が話す英語に違和感が募るのである。

 どんなにすましてもおしとやかに振舞っても、口を開いたらアメリカ英語。おまけに気に入らない記事を書いた新聞を訴え、人気回復のためにマイケル・ジャクソンやハーベイ・ワインスタインを顧客にしたハリウッドのPR会社を雇い入れるという行為も呆れるほどアメリカ的に映る。

 そんなことより、新たなロイヤルの一員になったのなら、もう老齢なのだから、できるだけエリザベス女王のお側にいて、その振る舞いを勉強し、内面を磨くべきではないだろうか。英国でメーガン妃を見ていると、個人的にそう感じてしまう。しかしそう思うのは、やはり私が皇室を知る日本人だからなのだろう。そしてまた、ロイヤルのいない「自由で平等」を優先する土壌で育ったメーガン妃にとって、この感覚は理解不可能ともいえそうだ。この「埋まらない溝」が、ネガティブに注目され不要な摩擦を起こす原因なのかもしれない。

 私自身が同世代でファンだった、ダイアナ元妃の息子のヘンリー王子には幸福になってほしいと思うが、特にメディアとの法廷闘争を直近に控え、さらに批判の的となってしまうことだろう。裁判が開始されれば、また様々な暴露が大衆紙の紙面にあふれることになり、英国でふたりを取り巻く状況はさらに厳しいものとなるのは明白だ。

(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)