Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

海外ニュース

王室主要メンバーから「引退」させられたアンドリュー王子 スキャンダルが英国に与えたインパクト【後編】

公開日:  /  更新日:

著者:森 昌利

アンドリュー王子のスキャンダルとは? 身の潔白を示すためにBBCのインタビューへ

 前編で触れたので詳細は割愛するが、昨年8月、性的人身取引で起訴され勾留されていた米国の大富豪ジェフリー・エプスタイン被告が、ニューヨークの拘置所内で66歳で急死した。本人が終始無罪を主張していた中、謎の多い自殺を遂げたことで、かつてのアンドリュー王子との盟友関係が再浮上した。そして、一度は完全否定して消滅したはずのセックススキャンダルも再燃した。

 17歳当時に、エプスタイン被告の指示でアンドリュー王子と無理やり関係を持たされたという、バージニア・ジュフリーさんの訴えに対し、バッキンガム宮殿は再び「全く根も葉もない話。アンドリュー王子は一切そのような行為に及んでいない」と強く否定した。

 しかし、沈静化するどころか疑惑は深まるばかり。メディアは無論のこと報道を続け、一般大衆もつられるように「一体どうなっているのか」と英国内は大騒ぎになった。こうした英国社会の反応に耐えられなくなったアンドリュー王子は、ついにBBCのインタビューに応じて自らの潔白を示す決心をした。

 ところが、この決断が結果的には大失態を呼び、さらに凄まじい逆風を生み出すことになった。あまりにもひどい内容だったため、昨年11月16日に放映された直後には、このインタビューは疑惑を払拭する自信があったアンドリュー王子の「独断」で行われ、エリザベス女王をはじめ王室メンバーは蚊帳の外に置かれていたという報道もあった。しかし、それは誤りだと思う。

 実際、インタビューはバッキンガム宮殿内で行われていたし、話を聞いたエミリー・メイトリス記者本人が後日、英高級紙「ザ・タイムズ」に「アンドリュー王子から“最終的に女王の許可が必要だ”と連絡が来たので、女王の許可を取り付け、インタビューを行った」と書いている。

 しかしあの冷静沈着で、文字通り石橋を叩いても渡らない慎重なイメージがあり、しかも聡明を絵に描いたようなエリザベス女王がなぜあのインタビューの危うさに考え及ばなかったのだろうか。

 それも前編で記述した通り、一番のお気に入りの息子に「絶対に大丈夫」と説得されて、かわいさ余ったゆえに判断基準を曇らせたのではないだろうか。所詮、女王も人間なのだ。